買主(あなた)にとっては、費用面のリスク回避ができる住宅ローン特約。
万が一審査に落ち、ローン特約で売買契約を解除するためには、契約書に記載されている住宅ローン特約についての条件を満たす必要があります。言い換えれば記載されている条件を満たす場合のみ有効とされているのです。
さて、どんな内容が記載されているのでしょうか。
【住宅ローンを申し込む金融機関の名称・借入金額】
●金融機関の名称
契約書に記載する金融機関は複数記載することも可能ですが、複数の金融機関を書く場合はメリットとデメリットがあることを覚えておきましょう。
複数の金融機関を記載した場合、すべての金融機関が否承認になるまで契約解除はされません。これが複数の金融機関を書くことのメリットと言えます。
一方デメリットは、本命の金融機関で融資が承認されなかったとしても、記載した他の金融機関で承認された場合、本命の金融機関の否承認を理由に契約解除はできません。
つまり、金利などの条件に納得がいかなくても承認された金融機関でローン契約をしなければなりません。
●借入金額
事前審査で承認された借入金額までが本審査申込金額です。
事前審査で承認された借入金額を本審査申込時に減額することは可能ですが、増額は再審査となることが一般的です。
本審査時に借入額を増額したことで承認されなかった場合、それを理由にローン特約による解除を主張することはできないので注意しましょう。
【本審査の承認が得られるまでの期間(承認期日)】
契約時に本審査の承認期日というものが設けられます。
この期日までに正式承認を取ってくださいってことです。
この日付は、契約後速やかに本審査を申込すれば十分に間に合う日付に設定されているはずです。あまりにもタイトは期日の場合は売主または仲介会社に相談しましょう。
住宅ローン特約を付けた売買契約の締結をすると、買主は一定の期限内に誠実に住宅ローン申込手続をする義務を負います。
本審査の申込が買主の怠慢等により遅れ、承認期日に間に合わなかったような場合は、ローン特約は無効となりますので注意してください。
【融資未承認の場合の契約解除期限】
ローン特約による解除ができる期日のことです。
住宅ローンが承認されなかった場合の、ローン特約で契約を解除できる期限が定められています。
一般的には融資承認期日の1週間後辺りに設定されることが多く、それを過ぎるとローン特約による解除は認められません。
融資が承認されなかった場合
もしローン審査が通らなかったらどうしよう、、、支払った手付金は戻ってくるのかなぁ、、まさか違約金なんてことにはならないよなぁ、、、💦
解除条件型(融資が承認されなかった場合は自動的に解除される)か、解除保留型(融資が承認されなかった時点で買主が判断する)か、が定められています。
解除条件型が一般的だと思われますが、念のため確認しておきましょう。
【解除条件型と解除保留型】
●解除条件型:本審査が否承認の場合、不動産売買契約が自動的に白紙解除となる
解除条件型には細かく分けると「解除条件型」と「停止条件型」があります。
「解除条件型」は、住宅ローンが落ちた場合、自動的に契約が白紙になる特約です。
一方「停止条件型」は、住宅ローン が承認となった場合、自動的に契約の効力が発生する特約です。
効力の発生条件は解除型と停止型で異なりますが、いずれも金融機関の審査結果が出た時点で契約の有効・無効が決定するということになります。
●解除権留保型:買主が解除を申し出ない限り、特約による契約解除の効力は生じない
解除通告期限を1日でも経過してしまうと契約解除はできなくなってしまいます。←注意
解除保留型は金融機関の結果が出た時点で、買主が契約を解除するか否かを選択できるタイプの特約です。
【ローン特約による解除の意思表示】
契約解除の意思表示の方法は記載されている場合とされていない場合があります。
ローン特約による解除に限らず、不動産取引については何でも文章など残るものにしておくことが大切なので「言った」「言わない」のトラブルを避けるためにも、解除の意思表示は文章など残るもので確実に伝えるようにしましょう。
【 住宅ローン特約で解除した場合、支払い済みの費用はどうなるの? 】
Q:ローン特約で契約を解除した場合、支払い済みの費用はどうなるのでしょう?
A:ローン特約で解除された契約の場合、契約書に貼付済の印紙代は戻ってきませんが、手付金及び仲介手数料(半金支払っていた場合等)は無利息にて返金されます。
※返金が振込になった場合は、その振込にかかる振込手数料は買主の負担になるでしょう。
特約の条項はよく理解しておきましょう
金融機関から融資を拒まれた場合、買主は速やかに住宅ローン特約により契約解除をするか、他の方法で資金を調達するかを選択しなければなりません。
どちらも選択せずに相当期間が経過すると解除権は消滅してしまい契約解除ができなくなるので注意しましょう。
また、この特約に基づいて契約解除できるのは、住宅ローン特約の条項に記載された住宅ローンに関する「借入金額」「金融機関名」「融資が承認されるまでの期日」「契約解除期限」通りの申込をし、それが通らなかった場合のみ有効です。どれか一つでも異なっていると不動産売買契約を解除できない場合があることを覚えておきましょう。
買主は一定の期限内に誠実に住宅ローン申込手続をする義務を負うことは当然のこと、虚偽の申込をしてはいけないことも忘れてはいけません。
買主の怠慢により本審査の申込が遅れたことにより承認期日に間に合わなかった・申込内容に虚偽が判明したことにより否承認となった、このような場合はローン特約は当然に無効になります。
POINT
住宅ローン特約「無条件で不動産売買契約を解除できないケースもある」