FUKURO'S VOICEさてさて、重要事項説明書には具体的にどんな内容が書かれているのかなぁ?

重説に記載される内容は大きく分けて「対象物件に関する事項」取引条件に関する事項」で、宅地建物取引業法で説明すべき事項が細かく定められています。

重要事項説明書には、専門的な内容や文言が記載されているため、難しい印象を受けますが、一つひとつ丁寧に解説してもらえば理解することはできるはずです。
重要事項説明の全体像を把握した上で、ポイントを確認していくと、より理解しやすくなると思います。

対象物件に関する事項

【 1.登記された権利の種類、内容 】

購入予定物件の現所有者はだれか、抵当権などが登記されている場合はその内容が記載・説明がされます。差押えなどの登記が無いかも登記簿謄本と重説を確認してください。
※抵当権:住宅ローンを借りるときに、購入する住宅の土地と建物に金融機関が設定する権利のことであり、乙区欄に記載されます。万が一、返済が滞った場合等のために金融機関が土地や建物を担保として回収するために設定します。

【 2、法令上の制限 】

購入予定物件が都市計画法や建築基準法などの法令により、どのような制限を受けるのかが記載されています。建築予定の建物を建てることが出来るのか、あるいは将来建替える時にどんな制限を受けるのか、などをきちんと確認しておきましょう。
通常、宅建業者は重説に「重要事項説明書説明資料」という資料を添付しますので、この資料を見ながら説明を受けると理解しやすいと思います。

【 3、私道負担に関する事項 】

敷地が面している道路が私道の場合、権利関係や負担金の有無が記載されます。(公道の場合は不要)建築基準法では、建物の敷地は幅4m以上の道路に2m以上接しないと建築ができないとされています。そのため、敷地をセットバックして私道を作って接道させるような場合、この私道のために負担する面積やその維持費などについて記載・説明されます。
※私道負担がない場合は、(私道負担:無)と記載されます。

【 4.道路と敷地の関係について 】

道路は敷地との関係でとても重要です。
見た目は普通の道路でも、建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければ、原則として建物を建てることができません。
トラブルになった例がたくさんありますので、前面道路が建築基準法で認められた道路の種類かどうかをよく確認し、特に前面道路が狭い土地などは説明をよく聞いてください。

【 5、電気・ガス・水道、下水の状況(ライフライン) 】

ライフラインについての整備状況の確認。
ガスは都市ガスかプロパンガスかなど、インフラの設備について記載・説明があります。その施設がすぐに利用できる状況にあるのか、整備されていない場合は、整備するための負担金の有無などが記載されます。
また、水道管が他人の土地を通って引き込まれているような場合は、家の建て替えや古い水道管を取り替えるなどの工事の際、隣地に入って工事をしなければならないといった状況が考えられます。
後々のトラブルに発展しないようよく確認してください。

【 6、未完成物件は工事完了後における形状・構造など 】

未完成の建物の場合、主要構造部や外装、内装の仕上げ、設備の配置などについて資料や図面などを基に説明されます。土地の場合は、道路の種類・幅員について説明されます。

【 7、その他の制限 】

災害や地震に関する重要な事項について記載・説明があります。
購入予定の物件の土地が土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に指定されているかどうかなどは、購入するかどうかの判断をする時の重要な事項です。
それ以外にも、古い建物だとアスベストの使用調査や耐震診断の有無、その内容が説明されます。

・造成宅地防災区域内にあるか否か?

大規模な盛土などで造成された宅地で地盤災害が発生する恐れのある地域にある場合はその内容が記載・説明されます。

・土砂災害警戒区域内にあるか否か?

土砂災害が発生した場合、建物が押し流されたりするなど著しい被害が発生する 可能性があると想定される区域内にある場合はその内容が記載・説明されます。

・津波災害警戒区域内にあるか否か?

津波による浸水が想定される区域にあればその内容が記載・説明されます。

・水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地

近年、台風やゲリラ豪雨による河川の氾濫や洪水などの水害が多発していることから、重要事項説明で市町村作成のハザードマップの提示や、水害リスクの説明等が行われることになりました。
別添の水害ハザードマップ上に記載された避難所についても併せてその位置が説明されます。

・住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

住宅性能評価は国交省に登録された第三者機関が行います。建物の強さや省エネ性などの性能を評価するものです。評価された住宅であればその旨が記載・説明されます。

 ・アスベスト(石綿)の使用の有無と調査結果

肺がんなどの発がん性のあるアスベストが使用されている家屋である調査結果があればその内容が記載・説明されます。
調査義務はないので調査をしていない場合は「無し」と記載・説明されます。

・建物状況調査の結果の概要(既存の住宅のとき)

建物状況調査の実施の有無(既存住宅状況調査技術者が実施した建物状況調査で、1年以内に実施されたものがある場合、記載・説明されます)

・建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況・建物の耐震診断に関する事項(既存の建物のとき)

交付はされているものの、紛失などして保存されていない場合または調査しても不明だった場合は「無」に■チェックが付きます。

・耐震診断を受けている場合の内容

昭和56年6月1日以前の旧耐震基準で建設された物件が、耐震診断を受けている場合はその内容が記載・説明されます。

ここまでが「対象物件に関する事項」に記載される内容となります。

正確な情報をきちんと知って、判断すれば不動産の取引は決して怖いものではありません。
重要事項説明をきちんと聞いて、疑問点や分からないときはその都度、宅地建物取引士に納得するまで聞くようにしてください。
そうすることでトラブルの危険性は大幅に回避できるはずです。

重要事項説明書に関してだけではなく、不動産に関しての疑問点や不安になることがあれば、いつでもT・Мプランニング(株)までご相談ください。

③重要事項説明書って何?「取引条件に関する事項」に続く

この記事を書いたのは…

イラスト

富岡安雄
Tomioka Yasuo

不動産業会経験は20年以上、宅地建物取引士、一級建物アドバイザーの資格を持つ。お客様ファーストの立場で豊富な実務経験と実績を活かしたプロの視点で物件紹介できる提案力が強み。
T・Mプランニング株式会社が運営する不動産店舗の店長を務める。