お家購入の際、ほとんど方が利用する住宅ローン。物件探しも大切ですが、お金のことはもっと大切。
住宅ローンを初めて借入される方にとっては
どのくらい借りられるのかな?
どの金融機関がいいのかな?
固定と変動、金利タイプはどっちを選べばいいのかな?
などなど‥目安がわからない一方で、無理なく返済していけるのだろうか?と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
銀行はどこを選べばいいかなぁ~? てかっ僕はどのくらい借りられるのかな?
購入したい物件が見つかると、いよいよ物件購入申込⇒住宅ローンの事前審査を申し込むことになります。
年収に応じた借入可能額をどのように考えたらいいのか、また実際の借入額を決める時の注意点について説明します。
年収は住宅ローン借入可能額に影響するの?
まずは、住宅ローンの借入れを検討している方の年収と、借入可能額との関係についてです。
【 住宅ローン審査における年収とは? 】
住宅ローン審査における年収とは、手取り収入ではなく、社会保険料や税金が引かれる前の額面収入を指すことが一般的です。給与収入以外に収入のない会社員の方は、源泉徴収票の支払金額欄に記載された金額のことです。
個人事業主の方は、売上ではなく売上から経費を差し引いた所得のことです。
※共働き夫婦など、一方が連帯債務者や連帯保証人となり、夫婦で協力して住宅ローンを組む場合は2人の年収を合算できる場合もあります。
【 他の借入によって住宅ローンの借入可能額はどう変わる? 】
収入に対して住宅ローンの返済が負担になりすぎないよう、借入可能額には「総返済負担率(返済比率)」という基準が金融機関毎に設けられています。
総返済負担率(返済比率)とは、年収に対するすべての借入れ(住宅ローン以外の車のローンなども含む)の年間の合計返済額の割合のことです。
具体的には下記計算式の通り、総返済負担率は年間返済額(毎月の返済額12カ月分+ボーナス加算額)を年収で割って計算します。
この計算上での返済額は、新規借入の住宅ローンの額はそれぞれの金融機関が定めている審査用の金利で算出され、他の借入は実際に支払っている額(元本+利息)となります。
住宅ローンの申込み時点で、車のローンやカードローンなどの他の借入があると、その返済分も合わせて年間返済額に合算されるので、借入額が少なくなることがあります。
希望の融資額を受けるためには、他の借入の完済が条件として付く場合もあれば、カードローン等の場合は完済後クレジットカード自体の解約を金融機関から勧められる場合もあります。
他の借入(無)
毎月の返済額 ×12 + ボーナス返済額 ÷ 年収
※例えば年収500万円、毎月の返済額が8万円、年2回のボーナス返済が各15万円であれば、
8×12+15×2 ÷ 500 ⇒ 126÷500=25.2%
総返済負担率(返済比率)は25.2%となります。
車のローンやカードローンなど他の借入(有)
※例えば車のローン支払いが毎月3万円(年間36万円)だとすると、
(住宅ローン)8×12+15×2 +(車のローン)3×12 ÷ 500 ⇒ 162÷500=32.4%
総返済負担率(返済比率)は32.4%となります。
金融機関ごとに、年収によっての総返済負担率の上限が定められていて、年収の35.0%以下であることが申込要件の一つとなっていることが一般的です。
※総返済負担率は金融機関・年収額により異なります
無理・無茶なく返済できる借入額は?
お家購入後は、住宅ローンの返済以外にも費用がかかることを忘れてはいけません。
毎年の固定資産税・都市計画税や、建物の火災保険料、定期的な修繕費用、など賃貸では不要だった費用が必要になります。
毎月の収入に対してギリギリの住宅ローン返済額では、上記のような費用が発生した際に赤字になってしまいます‥。
今住んでいる賃貸の家賃と同じくらいの負担(返済額)なら大丈夫だ!‥と考えるのではなく、余裕を持った返済プランを立てておくことが大切です。
【 ボーナス払い「無」で借入額を決めましょう 】
以前のリーマンショックや昨今のコロナ禍のような事態によって、ボーナスが大幅に減額されたり、支給されなくなったりするケースも想定されます。
ボーナスの変動によって住宅ローン返済に支障が出ないよう、借入額はボーナスがなくても返済が続けられる金額に留めておきましょう。歩合給や残業手当の割合が大きい方も同様です。
ボーナス払いは設定せず、ボーナス時にまとまった貯金ができるなら、計画的に繰り上げ返済を行うのもお勧めです。
【 住宅ローンの借入額を決めるときの注意点 】
ここまで借入可能額について説明しましたが、
借入可能額の上限=無理なく返済できる金額、とは限りません。
今一度立ち止まって冷静に考えてみましょう。
☑返済シミュレーション
住宅ローンの借入額を決める上で、希望する生活水準を実現するためには月々の返済額はいくらが妥当なのか、ご家族が楽しみにしている外食など他の支出とのバランスを考えることが大切です。
住宅ローンの返済は長期に渡り続きます。その間には様々なライフイベントが想定されますよね。
子どもの人数や年齢、進学プラン、まとまったお金のかかる車の購入や旅行の計画、今回購入する家にずっと住み続けるのか、将来買い替えを考えるのか、もっと言うと老後はどのように暮らしていきたいのかなど、ライフイベントに優先順位をつけながら考えてみることも必要です。
そして、そのための費用がいつ、どのくらい必要になるのか、具体的な金額を想定して資金計画を立ててみましょう。日々の生活費と住宅ローンの返済、ライフイベントの実現に必要な貯蓄額などを考えながら、無理・無茶のない返済プランを立てることが大切です。
☑自己資金(頭金)も貯蓄額と将来の支出を考慮して決めよう
自己資金(頭金)を増やせば、当然住宅ローンの借入額を減らすことができますし、借入金利が下がる場合もあります。
でも‥、頭金を増やし過ぎて手元資金が少なくなると、急な出費や収入減少などに対応できなくなる可能性もあるので、もしもの場合の資金は手元に残しておきたいところです。
特に個人事業主の方や歩合給の割合が多い方など収入が変動しやすい方は、手元資金を残しておくほうがより安心だと思います。
☑車のローンや教育ローンを検討している場合の注意点
手元にある資金を住宅購入の頭金にするのか、車の購入費用や教育費用に充てるのかについて、検討している場合は注意が必要かもしれません。
一般的に住宅ローンに比べ、車のローンや教育ローンの金利は高く設定されている上に、住宅ローン控除のような税制優遇制度がないことを考えると、手元資金を住宅購入の頭金にするよりも、将来の車の購入費や教育費に充てたほうが有利(得)になるケースも考えられます。
あなたにとって無理・無茶のない借入額であること
お家購入は家族の生活を豊かにするためのもの
無理・無茶な返済額で住宅ローンを組んだせいで、お家購入が家族の日々の生活やライフプランの実現にとって重荷になってしまうのは本末転倒です。
・住宅ローンの返済が家族の生活を過度に圧迫しないか、
・優先順位の高いライフイベントの実現を妨げないか、
・長期に渡る返済期間を通して余裕をもって返済できるような計画になっているか、
これらも意識しながら、あなたと家族にとって無理・無茶のない借入額・返済額とすることが、最も大切なことです。