民間金融機関の住宅ローンには団体信用生命保険(略して団信)の加入が義務付けられています。
団体信用生命保険は住宅ローンの契約者(債務者)本人が、返済期間中に死亡または高度障害状態になったときなどに、住宅ローンの残高を完済(肩代わり)してくれる仕組みの言わば「住宅ローン専用の保険」です。
必ず加入しないとダメなんですか?
・金融機関側は貸し倒れリスクを回避するため、団体信用生命保険の加入を必須としています。
・住宅ローンを借りる側としても、万が一の場合に残されたご家族に住まいを遺すことができます。
ただし、健康状態が悪いと団信に加入できないだけではなく、住宅ローンを借りることができない場合があるということに注意が必要です。
ここでは団体信用生命保険の一般団信に加入できない場合の対処法などをお伝えしたいと思います。
団体信用生命保険はご家族のため
住宅ローンの返済期間は長期に渡ります。その間ローン契約者に万が一のことが起こったら、、、残されたご家族が住宅ローン(借金)を支払っていかなければなりません。
マイホーム購入のための住宅ローンは高額です。
物件によっては数千万もの借金を負うことにもなりかねません。
残されたご家族に住宅ローンを払い続ける経済力がなければ、住まいを手放さなければなりません、、、
団体信用生命保険はこのような事態を避けるための保険です。
住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になったときは、引受生命保険会社から金融機関へ住宅ローンの残額分が支払われ、ローン残高が0円になるので本人はもちろんご家族も安心です。
そしてこの団信(一般団信)の保険料は金融機関が負担しています。
保険料の負担がなくても、契約者が万が一の時ご家族にきっちりと家を遺すことができるという安心感があります。
健康状態が悪いと加入できない?!
団信の申込み時に、現在の健康状態、持病や病歴・手術歴などを記入する「告知書」を提出します。
一般の生命保険よりも告知項目が少ないので、比較的加入しやすいともいえますが、病気の種類や症状、服用しているお薬の種類、経過によっては、団信に加入することができません。※審査基準は引受生命保険会社によります。
団体信用生命保険への加入が、借り入れの条件となっている民間金融機関の住宅ローンの場合、健康状態が悪いと団信加入ができず結果として住宅ローンの借り入れができない恐れがあるということです。
団体信用生命保険加入申し込み時の告知項目
告知書の項目は次の3つです。
1.最近3ヶ月以内に医師の治療(※1指示・指導を含みます)・投薬を受けたことがありますか。
2.過去3年以内に※2下記に該当する病気で手術を受けたこと、または2週間以上にわたって医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を受けたことがありますか。
3.手・足の欠損または機能に障害がありますか。または脊骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障害がありますか。
※1指示・指導とは、医師の診察、検査を受けた結果、再検査をすすめられること、治療・投薬・入院・手術をすすめられること・日常の生活指導・勤務上の制限・アドバイス等をうけることをいいます。
※2申告書に記載される病気に該当している場合は詳しく申告していただきます。
告知事項を「あり」「なし」で告知しますが、「あり」の場合は初診の時からの経過や現在の状態・服用しているお薬名などを詳しく記入します。内容によっては医師の診断書を求められる場合もあります。
健康状態を偽ったり、虚偽の申告は当然のことながらしないでください。
万が一のことが起こった際には、保険会社は遡って調査を行います。
申告書が虚偽だったと認められる➡契約違反➡保険が下りない、といった最悪の事態を招くことになります。
団信に加入できない場合の解決策
では、持病や病歴・手術歴など健康状状態に不安のある人は、住宅ローンを借りることができない?!マイホームを購入することはできないのでしょうか?
そうとは限りません。
ワイド団信
従来の団体信用生命保険に加入できなかった方には「ワイド団信」と呼ばれる持病・既往歴がある方のための団体信用生命保険もあります。
引受範囲を広げた審査基準の保険なので、高血圧などの病気を抱えていたとしても加入できる可能性が高い団体信用生命保険です。
ただ、加入条件が緩い分金利が上乗せされることに注意が必要です。
フラット35
フラット35では団体信用生命保険の加入を外すことが可能です。
団信に加入しなくても住宅ローンを借り入れすることが可能、言い方を変えれば団信に加入できなくても住宅ローンが組めるということです。※金利が0.2%下がります。
ただ、ローン契約者が死亡または所定の高度障害状態になっても、住宅ローンの残額は0円にはならず残されたご家族が返済していくことになります。
フラット35を団信不加入で借り入れされる場合は、万が一の時に備えご家族を守るための準備をしっかりしておく必要があると言えます。
マイホーム購入、まずは健康であること
マイホーム購入のために住宅ローンを借り入れするには、ご年収や勤続年数だけでなく健康であることも条件になるということです。
マイホーム購入には団信が付いているため、生命保険の内容などを見直すきっかけになるとも言えますが、住宅ローンの支払いが免除されるだけで残されたご家族にお金は一切支払われることはありません。その点はご留意ください。
年齢とともに健康リスクは上がります。
健康に少しでも不安のある方は、事前審査の段階で団信の審査を並行または先行してもらうことも可能なので、持病や病歴・手術歴がある方は、なるべく早めにご相談ください。