不動産物件チラシは何でも好き勝手に載せていい訳ではなく「景品表示法」「公正競争規約」によって記載内容が決められています。
記載すべき内容を統一し、嘘(虚偽)や誇張(誇大)を排除することで、一般消費者が守られるような仕組みになっているのです。

「宅地建物取引業法」による規制 

宅建業法で以下の誇大広告の禁止や、広告の開始時期の制限などが定められています。

・広告や契約の制限
・誇大広告の禁止
・取引態様の明示義務
・断定的な判断の禁止
・不当な履行遅滞の禁止

これに違反した不動産会社には業務の停止処分などの罰則が課されます。

(ex.)三階建ての新築住宅の広告を出していましたが、建築許可が下りなかった!⇒虚偽の広告をしたことになってしまいます。
そのため、未完成物件の広告は「開発許可・建築確認・その他必要な許可」を得た後でなければ広告はできません。これを「広告開始時期の制限」といい、許可申請としても駄目です。
また、開発許可・建築確認を受けるは、広告だけでなく契約をすることも禁止されています。これを「契約締結時期の制限」といいます。

既に完成済の物件や造成不要の土地に関しては許可や確認が必要ないので、広告開始時期の制限を受けません。

(ex.)「この土地はあと6~7年以内に必ず値上がりしますよ~」などと誤解を招く断定的判断を提供することも禁止されています。

(ex.)実在しない物件を客引き目的のために広告する、いわゆるおとり広告も「虚偽広告」として禁止されています。

「不当景品類及び不当表示防止法」による規制 

不当な景品の提供や、不当な表示による顧客の誘引が法律で禁止されています。
この法律は直接、不動産会社を規制するものではなく、公正取引委員会の認定を受けた業界団体が自主的に行っているものです。

(ex.)接道義務を満たしていない場合は「再建築不可」または「建築不可」と明示する、セットバックがある場合はその旨の記載とセットバックが必要な部分の面積(全体の面積の概ね10%以上の場合)を明示する、古家が存在するときはその旨を明示する、などです。

基準がバラバラにならないための配慮として、表示基準も設けられています。
(ex.)「最寄駅から徒歩○○分」と表記する場合は徒歩時間を分速80メートルとする、面積はメートル法で表示し、1平方メートル未満は切り捨て可能とする、などです。

表示しなければならない事項がある一方で、物件チラシに記載してはNGなことも。
(ex.)「最高・抜群・日本一・業界初」などは、客観的で具体的な根拠がなければ使えません。
(ex.)「当社のみ・この物件のみ」といった比較表現も、何と比べてかの具体的な事実がなければ使用できません。
(ex.)3,800万円⇒3,600万円など、2つの価格を併記する二重価格表示も実際に値下げ・割引をしていなければ使ってはいけません。

このように不当な情報や分かりにくい表現を防ぐためのルールが定められていますが、、、残念ながら恣意的に記載をしなかったり・不適切な表現をしていたり、物件の調査ミス・うっかり記載モレは無きにしも非ずです、、、

物件チラシの情報だけに惑わされず、正確な情報を得てから購入の判断をすることが重要です。

物件チラシだけで判断しない

不動産広告のルールについてお伝えしましたが、チラシだけでは物件の良し悪しは判断できません。

具体的に不動産購入に向けて検討をする場合には、より細かな情報について確認、そして理解する必要があります。

物件チラシやインターネット上の検索サイトの物件ページは「主な情報」「大枠の情報」と捉え、まずは不動産のプロ(信頼できる不動産会社や担当スタッフ)に相談しましょう。

➡不動産チラシのチェックポイントはこちらから

この記事を書いたのは…

イラスト

富岡安雄
Tomioka Yasuo

不動産業会経験は20年以上、宅地建物取引士、一級建物アドバイザーの資格を持つ。お客様ファーストの立場で豊富な実務経験と実績を活かしたプロの視点で物件紹介できる提案力が強み。
T・Mプランニング株式会社が運営する不動産店舗の店長を務める。