住宅ローンを比較検討するときに、基本となるのが「金利」です。
住宅ローンの金利が高くなると、返済額は当然多くなり、この金利が0.1%違うだけでも、支払総額でみると大きな差になるので、住宅ローンにおける金利はとても重要な意味を持ちます。

それじゃぁ金利は低ければ低い方がお得なのでしょうか?‥とは言い切れません。

金利といっても、固定金利や変動金利などの金利タイプがあり、どちらの金利タイプを選んでもをしてしまうリスクがあるからです。

住宅ローンを選ぶ時、なぜ金利が重要になるのかを理解するためにも、住宅ローンの金利について知識をつけておきましょう。

住宅ローンの金利

【 店頭金利 】

金利優遇(引下げ)などが行われるの、金融機関が本来設定している金利のことです。
店頭表示金利、基準金利など金融機関によって異なった表現で表示されているものもある定価のようなものです。

【 金利優遇(引下げ)幅 】

ほとんどの住宅ローンは本来の店頭金利よりも低い金利で融資されています。
「店頭金利から最大▲〇%」や「適用金利は〇%」といった表示を目にしませんか。
店頭金利から▲〇%優遇してくれるというのが金利引下げです。
この金利引下げは、金融機関の審査で決められるので、▲〇%~〇%と幅をもって表示されていることもあります。

【 適用金利 】

融資してくれる実際の金利です。店頭金利から金利引下げ幅を差し引いたものが適用金利となり、返済額はこの適用金利で決まります。実際に住宅ローンを借りる際の金利のことで実行金利とも言います。

事前審査の内諾と共に、基準金利から金利が優遇(引下げ)された適用金利(実行金利)が金融機関から提示されることが一般的です。
(変動金利型・固定金利期間選択型・全期間固定型など、選択する金利タイプによって適用金利は変わってきます)

また、金融機関によりますが、特定の条件を満たせば適用金利から更に優遇してもらえる場合や、金利優遇に条件が付く場合もありますので、その辺もしっかりチェックして総合的に判断しましょう。

【 住宅ローンの金利変動 】

Q:住宅ローンの金利ってどんな時に変動(上がったり下がったり)するのでしょうか?
A:住宅ローンの金利は、長期金利または短期金利に連動して決まっています。

長期金利に影響を受けるのが固定金利
短期金利に影響を受けるのが変動金利

景気が良くなれば金利は上がり、景気が悪化すれば金利は下がります。物価や株価、消費が上がれば金利が上がり、物価や株価、消費が落ち込めば金利が下がる要因となります。

景気の動向を注視していれば、金利が上がるか・下がるかを、ある程度感じ取ることができるのではないか、と思います。特に、固定金利は10年国債に影響するので、10年国債の動向をチェックしておくといいと思います。

【 金利とは 】

お金(住宅ローン)を借りたときは、その対価として利息を支払います。

住宅ローンの金利とは、年利で表示される・借りている額に対して・支払う利息の割合のことです。

住宅ローン金利タイプ

住宅ローンの金利は大きく「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」3つのタイプに分けられ、金利見直しのタイミングが異なるなど、それぞれに特徴があります。

住宅ローンの月々の返済額は、借入金額・借入期間・金利3つで決まります。金利が低いほど返済額が軽くなるので、誰もができるだけ金利の低いローンを借りたいと思われますよね?

でも‥、金利はずっと同じとは限りません‥
ここで重要となるのが金利タイプの選択です。
どの金利タイプを選ぶかによって、購入後の返済計画も変わってきますので、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

【 ①変動金利型 】

完済するまでの間、金利の利率が変動するタイプのことをいいます。市場の状況によって利息額が上がることもあれば、借り入れた時点よりも利率が低くなることもあります。

金利が見直されるのは半年に1度ですが、返済の見直しは5年に1度と決められています。
ただ、5年間の返済額が変わらないからといって、上昇した分の利息を支払わなくてもいい訳ではありません。金利変動は元本と利息の内訳が変わるだけなのです。

なので、金利が急上昇すると、利息額が毎月の返済額を超えてしまう未払利息が生じてしまう場合もあります。
また、5年に1度の返済額の見直しも1.25倍(金融機関では125%ルールとも言います)の支払金額までに上昇幅を抑える決まりがある為、返済額が急激にアップすることはありませんが、元金がなかなか減らないといったケースも考えられます。

金利が安いからといって、安易に選んでしまうと、将来金利が急上昇したときに大変なことになってしまう可能性があるということです。

変動金利型は、低金利の間は、そのメリットを受けられる商品ですが、現在の金利水準はこれ以上に下がることがあるのだろうか?と感じるくらいの低金利‥‥上昇するリスクは否めません。

・半年ごとに金利が見直しされる
・返済額の変更は5年ごと
・返済額アップは125%までのルールあり
・当初の実行金利は最もお得
・金利が上昇すれば返済負担が大きくなるリスクあり

【 ②固定金利期間選択型 】

当初「〇年間〇%」など、一定期間固定金利が適応する金利タイプ。

当初の固定期間(特約期間)は3年、5年、10年、20年などの中から選択した一定期間の金利が固定されます。
当初選択した固定期間終了後は変動金利型にするか、再度、固定金利期間選択型にするかを選ぶことができ、その時点での金利に見直され、返済額も見直されます。(金融機関により異なる場合あり)

固定期間が終了した時点で、金利が上がっていた場合は、上がった金利が適用されることになり、逆に金利が下がっていた場合には、下がった金利が適用されます。

固定期間終了後の金利が上昇していた場合は、月々の返済額がアップすることになりますが、変動金利型のようなそれまでの返済額の1.25倍までといった規定がありません。
固定金利期間選択型タイプを選ぶ場合は、借り入れ当初の返済額のみならず、金利改定後の返済額についてもシミュレーションをしておく必要があると思います。

・一定期間(3年・5年・10年・20年など)は固定金利
・固定金利期間終了後は変動金利(再度固定期間選択型を選ぶことも可能)
・増額125%までのルールなし(制限がない)
・変動金利移行後に大きく返済額が上がるリスクあり

【 ③全期間固定金利型 】

借入れから返済が終了するまで、全期間通して金利が一定・月々の返済額も一定の金利タイプです。代表的な住宅ローンがフラット35です。

金利の変動がないので、月々の返済金額が一定で、完済するまでの総支払額もわかります。特にお子様の教育資金の準備など、ライフイベントに応じた計画的な貯蓄が必要なご家庭には、資金管理がしやすくて安心と言えます。

金利変動のリスクがないので、金利が上昇した場合は、他の金利タイプで借りた場合よりも返済額が少なくなるケースもありますが、当初の金利は他のタイプと比べると高くなります。

・全期間通して金利が変わらない
・月々の返済額が一定
・契約時に返済総額が確定する
・金利変動の影響を受けない
・当初金利は他の2つのタイプより割高

この3つの金利タイプを比較してみると、ローン契約時の金利が最も低いのは変動金利です。
固定金利型よりも金利の利率が低く設定されているので、利息額の負担を抑えることができるメリットがある一方で、金利変動リスクがあるため、将来的に大きく金利が上がると返済額が一気に増えてしまう可能性もあります。

当社のお客様も今は変動金利型を選択される方がほとんどですが、現在の超低金利時代‥いつまで続くのか???は予想できません。
変動金利を選択する場合もリスクを理解した上で選ぶ必要があると言えますね。

FUKURO'S VOICE3つの金利タイプがあるのは理解できたけど、僕たちにはどの金利タイプがいいんだろう‥

固定金利と変動金利はどっちがお得なの?

金利タイプもお得な方を選びたいものです。
Q:実際のところ、固定金利と変動金利はどちらがお得なのでしょうか?
A:どちらがお得か‥‥正直、返済が終わってみるまで分かりません‥

金利が上がらなければ変動金利がお得ですし、金利が上がることになれば固定金利がお得だった、ということになるからです。

金利は景気によって変動しますが、いつ・どの程度・上がるのか・下がるのか、正確な予想はできません。なので、どちらがお得なのかをお伝えできないのです‥。

【 それでは、どの金利タイプがお勧めですか? 】

それぞれの金利タイプにメリットとデメリットがあります。

例えば、当面は変動金利型にして、金利が上りそうになったら固定金利タイプに換える方法があります。でも、気を付けたいのは、いざ、変動⇒固定に換えようとしたとき、固定金利型の金利が上っていることもあり得ますし、金融機関の手数料なども要確認です。

変動金利型や固定金利期間選択型を選ぶ場合は、金利が上がったときに月々の返済額がどれくらい増えるのかを不動産仲介会社にシュミレーションしてもらうのも一つです。

【 金利タイプを選ぶときのポイントって? 】

返済期間が短期であれば、低金利のうちに元本を大きく減らすことが出来る可能性があるので、金利変動リスクを下げることができます⇒変動金利を選んでもリスクは低いと考えられます。
逆に返済期間が長期に渡るのであれば、全期間固定金利にすることで金利の変動リスクを避けることができます。

世帯収入が今後アップする見通しが立っているのであれば、金利上昇による返済額の増額に対応できるということなので、変動金利もしくは固定金利選択型を選ぶことが考えられます。
ただ、奥様が出産で働けなくなる可能性や、将来的にお子様にかかる教育費用などの支出が増える見込みがあるのであれば、その時期に金利が上昇すると住宅ローンの返済が苦しくなる可能性があるので、返済額が一定の固定金利が安心なのかも知れません。

変動金利はこの約20年間ほとんど変動していない(変動と名のついた固定?)ことを理由に、変動金利を選ぶお客様もいれば、「何が起こるかわからない・目先の支払額よりも長い目で見た安心を」と固定金利を選ぶお客様もいらっしゃいます。

最終的にどちらを選ぶかはお客様次第なのですが、金利タイプを選ぶときは住宅ローンの月々の返済額はもちろん総返済額返済期間などを加味した上で、「金利は上がることもある」を頭に入れて検討するようにしましょう。

金利上昇リスクへの最も現実的な対処法は?

金利プラン含め住宅ローンの内容は、最終的にお客様ご自身に決定していただくことになりますが、私がお勧めしたい対処法は、「家計をやりくりしつつ、繰り上げ返済を計画的に行いながら、元本を減らしていくこと」です。

これが、金利上昇リスクへの最も現実的な対処法だと思っています。

いざ、お家購入!となったときに、慌てないよう・困らないよう、あらかじめ住宅ローンや資金計画についての知識をつけておきましょう。

この記事を書いたのは…

イラスト

富岡千賀子
Tomioka Chikako

不動産会社としてお客様の家探しを手伝う傍ら、「大阪府宅地建物取引業協会」が定期的に区役所などで開催する不動産無料相談会の相談員として多くの人の悩みにアドバイスしている。宅地建物取引士ほか、管理業務主任者、公認不動産コンサルティングマスター、賃貸経営管理士など多くの資格を持つ。
T・Mプランニング株式会社代表。